ATAK NIGHT4@代官山UNIT ダイジェスト及び感想

とりあえずの感想としては、強烈すぎるラインナップと度を超えた音質の良さそして先鋭的すぎる音の中に身を置いて興奮したり眠くなったり気持ち悪くなったりもう勘弁してください的な気分になったりする最強のイベントでした。音楽は割と聴いてる方だとは思うけど音楽ってここまでやっていいのかと思ったのはいつ以来だろう。耳鳴りは今もまだ続いていて、明らかに音に対する感覚が変質したのがわかる。以下ダイジェスト。


・evala
方向性としては昨年末(だったかな?)に観たラフォーレミュージアムでの渋谷慶一郎のパフォーマンスに近いかんじだったかな。ごうごうとうなりを上げる低音は心地よさを感じこそすれ特に感動はしなかった。無数の白い線がアルゴリズムによって風景を形づくる映像も、あー綺麗だなぁーとは思ったけどそれ以上のものではない。まあフロア後方の階段部分で聴いてたせいもあると思うので、演奏の合間に人が移動する隙を狙って前方に移動。


刀根康尚
突然照明が付き明るいフロアの中に登場した刀根さんが淡々とノイズを発し始める。周囲も明らかに戸惑い気味な感じ。複雑に錯綜する音を脳が処理しきれずに眠気も手伝って頭が朦朧としはじめる。だけど演奏の半分も過ぎたあたりから段々と慣れてきたのか、音がひとつのまとまりを持って頭に入ってくるようになり、段々とテンションが上がっていく。周囲も同じような雰囲気で、演奏終了時には大盛り上がり。


刀根康尚+高橋悠治
今日のスペゲとして登場した高橋悠治が、急遽刀根さんとデュオで演奏することになったとのこと。Nord leadを爆音でクールにかつ超絶テクニックで操る悠治さんとちょっととぼけた顔でMacとにらめっこする刀根さん。老練の二人による圧巻の演奏はさすが。ずっと観に行きたいと思ってた悠治さんだったけどまさかこんなところで観れるとは。でもそのうちちゃんとコンサート観に行きたい。


池田亮司
今現在紛れも無く日本の電子音楽界のトップランカーによる演奏。今回は残念ながら出演できなくなったpan sonicの代役として登場。池田さんは一見先鋭的に見えるけどエンターテイメントとしては超一級で、誰もがノれて楽しめるような音と映像だと思う。言ってみればクラブ仕様。音の粒子のひとつひとつが綺麗すぎてうっとりすると共にテンションあがりまくりなパフォーマンス。登場するまで本当に聴衆の前に姿を現すのかなと思っていたけど、本当に出てきたことに感動。でもシルエットのみで表情は全くわからなかった。そのあたりの演出もエンターテナーだな。


渋谷慶一郎
映像は無しで完全に音のみの50分間の演奏。圧巻でした。彼の音楽は決してノイズなんかではなくて、ある意味古典的な音楽から意味としては全く外れてない位相にありながらも、手法や文脈としては既存の枠組みを完全に取り払っている。それって現代音楽が今まで目指してきた方向性と一緒じゃん、って感じで、まあ確かにそうなんだけど、本当にそれが体現されていて、なおかつ「音楽」として昇華されている演奏は、まあ僕の見識が乏しいだけだと思うんだけど初めて体験した。音楽はなぜ心地よかったり、興奮したり、人の感情に触れることができるのか、という本質を根本からえぐり出している感覚。それはある種の恐ろしさすら感じさせる演奏で、時々これは悪魔が鳴らしている音なんじゃないかと思う。音楽ってここまでやっていいのかと心底思ってずっと戸惑いながらもまるでベッドに寝かされ施術を施されている患者のように動けない。終盤で演奏が段々と4つ打ちのダンスフロア仕様になり、終わったかと思うと間髪入れずに露骨キットのキャッチーなDJが流れると共に、瞬時にしてそれまでの演奏の記憶が消え去ってなんだかよくわからないものを見た、という印象だけが残る。演奏中から後ろにDJがスタンバッてるのを見たときからこの展開は予想していたけど、見事にその目論みにはまっちまった感じ。


中原昌也のDJも聴きたかったけど、ここでもう何も聞きたくないという気分になりUNITを出て、チャリンコで帰った。色々考えさせられたけど明るくなりはじめた春の街を走るのは心地よい。

これであと試験終わるまではライブはおあずけ。


雰囲気だけでもわかればとYouTubeでパリで行われたATAK NIGHTの映像を見つけたのでうp。


ATAK NIGHT4 @Paris